政治資金の裏金に関する税金の取扱いについて

2024.02.28  [Wed]

大阪市都島区に事務所を構える、村田綜合税務会計事務所です。

昨年末から頻繁に報道されている、自民党の派閥の政治資金をめぐる問題。パーティー収入の一部が議員にキックバックされているのにもかかわらず、自身の政治団体の政治資金収支報告書に記載していないという事実は、政治に対する信頼を根幹から揺らがせる事態となっています。
では、パーティー収入から不正に得られるキックバックに関する税金の取扱いはどのようになっているでしょうか。

1. 政治資金の個人に対するキックバックは、所得税法上「雑所得」の課税対象となる

政党から受けた政治活動費や、個人・後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄附などは「雑所得 」となり、確定申告における所得金額となるため、課税対象となります。

2. 雑所得の計算方法

年間の「政治資金収入」から「政治活動のために支出した費用」を控除した差額が課税対象となります。

①「政治資金収入」とは、次のものが該当します。

・政党から受けた政治活動費などの政治活動のための資金
・個人、政党、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品による寄附や便益・労務による寄附

②「政治活動のために支出した費用」には、例えば、次のようなものがあります 。
ただし、公職選挙法 第189条の規定に基づく都道府県の選挙管理委員会 (参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)への報告がなされている収入から支出された費用は、ここでいう政治活動のために支出した費用からは除かれます。

・専ら政治活動のために使用した秘書、事務所職員(臨時職員を含みます。)の給料・手当など(政策担当秘書、第一議員秘書及び第二議員秘書の給与 で国から支給されるものを除きます。)
・専ら政治活動のために使用した事務所の賃借料その他事務所の費用(備品費など)
・専ら政治活動のために使用した通信費、旅費
・国会報告、政見発表などのための費用
・専ら政治活動のために支出した委託調査費、図書費、会議費
・政党の政治活動の費用を賄うために経常的に負担する本部費、支部費
・政治活動に関する交際費、接待費、寄附金(寄附金控除(所得控除 )又は政党等寄附金特別控除(税額控除)の対象としたものを除きます。)

3. 確定申告義務

給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、給与所得、退職所得を除く所得の合計額が20万円を超える場合には、確定申告を行い、税金を納める義務があるとされています。
すなわち、国会議員は年間にわたり歳費と呼ばれる収入(給与所得に該当)を得ていることから、それに加えて、20万円を超えるキックバックを得ている場合は、確定申告及び納税の義務があることになります。

 

これまで見てきましたように、議員個人が政治資金として使用しなかったキックバック分(いわゆる裏金)は雑所得として申告義務があるものとなります。立法者である国会議員自らが所得税法に反して申告を行わない場合は、国民からの国会に対する信頼を揺るがすものになりかねず、また議員自らが所得税法に違反する形となってしまうのではないでしょうか。

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