海外に会社を保有している外国人に関する課税

2025.04.28  [Mon]

大阪市都島区に事務所を構える、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。

最近、以下のような質問をよく受けます。

1.質問事例

日本の居住者(永住者)である外国人です。外国で会社を設立しており、株主及び取締役は自分のみです。現在は日本の自宅で、インターネットを通して仕事をしています。この場合の税務上の論点を教えてください。

2.回答

こちらの質問のように、香港やシンガポール、もしくはアメリカなどに会社を持っているものの、オフィスもなく、従業員もおらず、いわばペーパーカンパニーの状態で、自分自身は日本にいながら仕事をしているというケースに該当します。

この場合、恒久的施設(Permanent Establishment: PE)の考え方に注意が必要です。

恒久的施設(Permanent Establishment: PE)というのは、事業を行う一定の場所をいいます。国際的なルールでは、「PEなければ課税なし」となっており、PEを有さない場合は事業所得への課税はないものとされます。
本件の場合、日本にある自宅で仕事をしているということですので、自宅がPEと認定される可能性があります。

もしPEと認定された場合、そのPEに帰属する所得は、日本での申告対象となる国内源泉所得として扱われます。一人会社であることを考えると、すべての所得が日本に帰属するという考え方になるでしょう。

そのため、本店所在地である海外の国で法人税の申告をしていたとしても、日本でのPEに帰属する所得を日本で申告することが求められます。その場合、二重課税が発生しますので、海外の国での申告の際に、日本で納税した法人税について、外国税額控除の適用が考えられます。

3.提案

海外の一人会社について日本で法人税申告を行うとなると、PEの論点のほかに、役員報酬や源泉所得税、海外側での外国税額控除など、多くの論点が生じます。
そのため、以下の方法を取るほうが、税務上はシンプルになります。

・日本で新たに会社を設立し、日本の会社から海外のクライアントへ請求を行う

・個人事業主として、個人の名前で海外のクライアントへ請求を行う

 

今回は、良く質問を受けることにある海外に会社を保有している外国人に関する課税をテーマに記載をさせて頂きました。
本件のような場合、税務上も複雑になることが多々ありますので、もしお困りの方がいらっしゃいましたらお問い合わせフォームよりご連絡下さい。

 

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