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日本に住むアメリカ人がアメリカの会社から給与を受け取る場合の日本での課税
大阪市都島区に事務所を構えます、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。
今回は最近問い合わせを受けることの多い、日本に居住している外国人が外国の会社から給与を受け取る場合の課税について、Q&A方式にて解説いたします。
1.事例
日本に住むアメリカ人です。日本には来日して5年未満のため、非永住者に該当します。日本に来日後は、リモートワークにて仕事をしています。毎月の給料は、アメリカの会社からアメリカの口座で受け取っています。この場合、日本に送金をしなければ、日本での課税はないでしょうか。
2.回答
アメリカの会社から受け取る給与は、日本国外払いの給与に該当しますが、国内で勤務した部分は日本国内源泉所得に該当するため、日本への送金有無に関わらず、日本での課税対象となり、確定申告を行う必要があります(所法7条二号)。
一方で、海外に出張されたり、アメリカへ帰国された際に働く日数分については、国外源泉所得となるため、日本への送金をしない限りは日本で課税されません。
また、国内源泉所得とされた分については日本において外国税額控除の対象となりますが、国外源泉所得とされ、送金課税の対象とならなかった部分については、外国税額控除の対象となりません(所基通95-29)。
3.ポイント
① アメリカの会社から受け取る給与は国内源泉所得か国外源泉所得か?
日本の所得税法上、給与のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に起因するものは、国内源泉所得とされています。したがって、来日してから日本で行う勤務については、国内源泉所得、海外出張やアメリカに帰国して行う勤務については、国外源泉所得となります。
② 送金課税の考え方
非永住者の課税ルールのひとつである「送金課税」は外国の方の間でも良く知られています。しかし、送金課税は国外源泉所得にのみ適用されるものであり、国内源泉所得については適用がありません。したがって、送金有無に関わらず、国内源泉所得(この事例の場合は日本で働いた日数に対応する給与)は日本での課税となります。
③ 租税条約に異なる定めがある場合
租税条約に所得税法と異なる定めがある場合は、租税条約での取り扱いが優先されます。しかしながら、給与所得については、所得税法と租税条約で課税関係が一致している場合がほとんどです。
今回は、外国人のお客様の間でも誤解があることの多い、非永住者の送金課税についてまとめました。所得に応じて、国内源泉所得、国外源泉所得の区分が異なるため、所得税法、租税条約で確認をすることが大切になります。
本件について、お問い合わせがある方は、お問い合わせフォームよりメッセージを頂ければと思います。