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米国IRA及び401K年金の掛金(Contribution)は雑所得若しくは一時所得から控除できるか?
大阪市都島区に事務所を構えます、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。
今回は、特に米国から日本へ帰国された方から質問を受けることの多い、401K年金及びIRAの受給に係る課税についてまとめます。
1.401K年金及びIRAの受給に係る課税について
① 日米租税条約17条①では、「一方の締約国の居住者が受益者である退職年金その他これに類する報酬に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することが出来る」とされています。
ここでいうところの一方の締約国とは日本になりますので、401K年金及びIRAの受給は日本でのみ課税となります。
※ただし、米国籍もしくは米国永住権をお持ちの場合は、米国での課税が別途生じます。
特に米国籍かつ非永住者の方で、日本に送金をしなければ課税なしと誤解されている方が多いのですが、送金がなくとも需給をした段階で日本での課税となり、確定申告が必要となります。
② 当該受給は、所得税法基本通達35-1 (8)に掲示する「生命保険契約等に基づく年金」に該当することになりますので、雑所得の扱いとなります。401K及びIRAが「生命保険契約等」となる根拠ですが、こちらは所得税法施行令183条➂二に規定する退職金共済契約の定義に該当するためとなります(所得税法施行令73①一)
ただし、所得税法基本通達35-3によると、「将来の年金給付の総額に代えて支払われるものは、一時所得の収入金額として差し支えない」とされているため、雑所得ではなく、一時所得としての申告も認められています。
2.米国IRA及び401K年金の掛金(Contribution)は雑所得若しくは一時所得から控除できるか?
こちらが今回の本題となります。
所得税法施行令183①②では、掛金相当の雑所得もしくは一時所得からの控除を認めています。上述したように、401K年金及びIRAは「生命保険契約等に基づく年金」に該当しますので、受給額から掛金相当額の控除が可能です。
掛金相当額は以下の算式により計算することとなります。
その年の受給額×(年金支払総額のうちの掛金総額の占める割合)
また、掛金については、受給者本人以外にも会社が負担しているケースも多くありますが、会社負担分も控除が可能です(所得税法基本通達34-4(2)、35-4(2))。
今回は特に質問を受けることの多い、401K年金、IRAに受給に関する課税についてまとめました。特に、Contributionの控除は漏れることもおおくありますので、ご留意ください。
本件について、もしご相談等ございます場合は、お問い合わせフォームからご連絡下さい。