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上海増値税にかかる外国税額控除
大阪市都島区に事務所を構える、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。
今回は、中国・上海に所在する不動産を売却した場合の譲渡所得税から、上海で課税された増値税を控除(=外国税額控除)できるかという点について、ご紹介します。
Q. 質問
私は日本国籍を有し、日本に居住しています。中国の上海に所有していた不動産を譲渡し、上海増値税を納付しました。この不動産の譲渡については、日本でも所得税の確定申告の上、譲渡所得税を納める必要がありますが、当該所得税から上海ですでに納めた増値税について、外国税額控除を適用することが出来ますか。
A. 回答
1. 外国税額控除の対象となる外国所得税の範囲
外国税額控除が適用される外国所得税とは、以下の要件を全て満たす税です。
・ 外国の法令により課されるわが国の所得税に相当する税
・ 外国の法令に基づき外国またはその地方公共団体により課される税
・ 個人の所得を課税標準として課される税
2. 上海増値税は上記の外国所得税に含まれるか?
上海増値税については、中国の法令により、かつ中国によって課税されているため、上記1の最初の2つの要件は満たすこととなります。
最後の「個人の所得を課税標準として課される税」かどうかですが、弊所で担当した案件では、上海増値税は売値から買値を控除した値上がり相当額にたいして税率を乗じる形で計算されており、日本の譲渡所得税の計算と概ね同一であるため、「個人の所得を課税標準として課される税」に該当すると考えます。
つまり、上海増値税については、1の要件を全て満たす形になりますので、外国税額控除の対象となる外国所得税に含まれることとなります。
3.結論
したがって、居住者がその年において外国所得税を納付する形になりますので、控除限度額を限度として、その外国所得税の額、本件では上海増値税の額をその年の所得税から控除することが出来ます。
今回は、最近問い合わせを受けることの多い、海外で課される税の外国税額控除についてまとめました。
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