日本帰国後の外貨送金と為替差益の課税関係

2026.08.05  [Wed]

大阪市都島区に事務所を構える、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。
今回は特に問い合わせを受けることの多い、為替差益に関する課税の相談を、Q&A形式にてご紹介します。

1.事例

私は日本国籍ですが、およそ20年前に勤務していた会社からの転勤命令により米国子会社に転籍をし、以降退職するまでの期間、米国子会社に勤務し、給料を得ていました。
退職後は日本に帰国し、米国の銀行口座から生活費相当額を円転の上送金することで生活をしようと考えていますが、為替差益について税務当局から課税をされるという話を耳にし、不安です。
米国からの送金について、毎回為替差益を計算する必要があるのでしょうか。また、為替差益を計算する場合は、送金時の為替と、どの時点の為替を比較するのでしょうか。

2.結論

非居住者時代に取得した外貨については、帰国後に円転・送金しても為替差益は生じません。

3.理由

為替差益の計算、すなわち外貨建取引の計算については、所得税法57条の3に規定されています。
同条では、「居住者が、外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。以下この条において同じ。)を行つた場合には~」とされており、確かに円転による送金は外貨による円の購入に該当するため、外貨建取引に該当します。

ところで、為替差益を計算する場合、円転時の為替と比較対象となる取引についても外貨建取引に該当する必要があります。本件の場合、給与を稼得していたのは非居住者であったときのものであるため、同条に規定する「居住者が~」には該当しないため、外貨建取引には該当しません。

したがって、為替差益を計算する上での比較対象となる外貨建取引が存在しないこととなるため、為替差益の計算を行うことはできません。

 

近年、国際間の取引が増えていることもあり、為替差益に関する相談は後を絶ちません。また、為替差益の取扱いについては、税務上の解釈が問題となる事例もあり、多くの方からお問い合わせをいただいております。、不安を抱えている納税者の方が多くいらっしゃる実態があります。
少しでもご相談のある方は、「お問い合わせ」フォームよりご相談ください。

 

お問い合わせはこちら