一次相続と二次相続

2023.04.27  [Thu]

大阪市に事務所を構える、国際税務と資産税に強い村田綜合税務会計事務所です。
今回は、相続税申告の際にお客様から相談を受けることの多い、一次相続と二次相続について解説いたします。

1. 二次相続とは

二次相続とは、一次相続で相続人となった配偶者が亡くなることによる相続発生を指します。
例えば、両親と子ども2人の4人家族の場合、父が最初に亡くなり、配偶者の母と子どもたちへ遺産が相続されるのを一次相続、続いて母が亡くなり子ども達だけへ遺産相続されるのが二次相続です。
二次相続では、一次相続と比べると相続税は大きくなるのが一般的です。一次相続における遺産分割内容が二次相続の相続税負担に影響を与えることが多いため、一次相続における遺産分割、その後の二次相続発生までの対策を慎重に検討する必要があります。

2. 二次相続で相続税が増える理由

①配偶者の税額軽減が適用できないこと

相続税では、配偶者が財産を相続した場合に、1億6,000万円または配偶者の法定相続分のいずれか大きい方の金額までの金額までの財産額に係る相続税を軽減する措置があります。
これを、「配偶者の税額軽減」と呼びます。
二次相続では、配偶者は相続人にいないため、配偶者の税額軽減が適用されません。一方で、一次相続の際には配偶者の税額軽減が適用されることから、通常は配偶者へ多めに相続を行います。
配偶者の税額軽減が適用されるために、一次相続での配偶者への相続額が多くなることがあります。その場合、二次相続のときには配偶者へ相続した財産と配偶者自身の財産の合算に対して相続税が課税されますが、配偶者の税額軽減はないことから、相続税額はかなり高額になります。

②基礎控除額の減少

相続税には、「基礎控除」という、税金を計算する上で、遺産の総額から差し引くことが出来る金額があります。基礎控除は【法定相続人の人数 × 600万円 + 3,000万円】で計算されます。
二次相続では、法定相続人の数が1人減ることにより、600万円もの基礎控除が減ることになります。

③死亡保険金と死亡退職金の非課税限度額の減少

死亡保険金と死亡退職金については、それぞれ法定相続人1人あたり500万円の非課税限度額が設けられています。例えば、一次相続で妻と子2人が法定相続人の場合、非課税枠は1,500万円ですが、二次相続は法定相続人が2人だけですから、非課税枠は1,000万円です。これも相続税の上昇につながります。

3. 二次相続への備えと対策

①一次相続で二次相続を見据えた遺産分割を

1次相続の段階で、2次相続まで見据えた遺産分割を行うことが大切です。特に、一次相続での配偶者の税額軽減適用により相続税が少なくなっても、二次相続を含めた全体の税額が高くなる恐れがあります。遺産分割協議では二次相続を見据えた話し合いをして、適切な対策をとる必要があります。
例えば、配偶者に、今後の生活費用として十分な金額を相続させた上で、それを超える分については子どもに相続させれば、二次相続で相続税が高額になるリスクを減らすことができます。

②生前贈与の活用

生前贈与を活用するという方法も考えられます。贈与税の暦年課税制度では、年間110万円までの生前贈与は非課税となります。
たとえば一次相続のときに配偶者が1,000万円の遺産を相続したとして、その後10年にわたって年間100万円ずつ生前贈与をすれば、贈与税はかかりませんし、二次相続の時点で子に財産が移転しているわけですから、相続税もかかりません。
ただし、生前贈与された財産でも、相続開始前3年以内に贈与されたものは相続税の対象となるため、早めに生前贈与を行うことが大切です。

一次相続が発生された方、もしくはまだ相続が発生していない方でも、早めの相続税対策を行うことが重要です。
些細なことでも構いませんので、相続税でお困りのことがございましたら、弊所お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

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